理解度確認テスト開発の基本
- tsunemichiaoki
- 2024年12月20日
- 読了時間: 7分

本日もセミナービジネス研究所の記事をご覧いただきありがとうございます。あらゆる経営者の方が事業を発展させていく上で、セミナー展開の価値、メリットを感じていただくために、セミナー展開で御社の事業あるいは経営者であるあなた自身のアピールをしていただきたいと考えております。
そのために、セミナー展開をどのように行っていけばよいか、という基本をお伝えするため、そしてご参考になるのでは、という記事を書き連ねております。
前回は、セミナー開発の基本そしてカリキュラム開発の基本を踏まえて教材開発の基本をお伝えしました。教材というと講義に使うものをまず思い浮かべると思いますが、それに留まらず、演習用教材についても触れました。更に広い意味では演習用教材に含めることも出来ますが、最後に行う場合がある理解度確認についても触れました。今回はさらにそこを深堀りしていきます。
それでは今回の本文をどうぞ。
第1章 理解度確認テスト開発の基本
前回、以下のことをお伝えしました。
理解度確認テストは、
必ずセミナーで設けなければならないものではありません。
とは言え、実施するかしないかは必ず検討すべきもの、として捉えていただきたいものです。
それは何か、というと、
テスト
です。
テストと言う名称にするかどうかも判断が必要です。
柔らかい表現にするのであれば、理解度確認、ということでしょう。
さらに、そのテストを、単なるアクセント、眠気覚ましのレベル設定とするのか、厳しい合格基準として設定するのか、というのも分かれ道です。
そしてその選択肢も二者択一というものではなく、色々な考え方があります。
しかしいずれにせよ、この時間があることで、講師をする側も受講する側もあるレベル以上の緊張感を持つことができることは紛れもない事実です。
受講した側にとっても、自分が理解できたかどうかを自己確認するうえでも、ある一定時間以上のセミナーで特に何かの知識を学ぶというセミナーであれば、入れ込むことをお勧めします。
10分でできる理解度確認クイズのレベルでも十分です。
ここまでが前回お伝えした内容です。
まず実施するかしないか。セミナー企画を考える上での分かれ道です。
1時間や2時間のセミナーでは不要でしょうが、その前に、そのセミナーが外部向けに行っているものか社内研修なのか、によっても検討のポイントが変わります。
1時間や2時間・・・と申しましたが、もしそれが社内研修であれば、たとえ1時間もの研修であったとしても理解度確認テストを入れる価値は出てくる場合があります。
何を学んでもらうのか、そしてその成果確認をどうするか、という点から総合的に判断してください。
その上で、実施する場合は、そのテストの持つ重みづけをどうするか、という点も考え決める必要があります。
難易度設定をどうするか、ということになります。
第2章 理解度テストの難易度設定
テスト、という名称から多くの方がご理解されることではありますが、理解度確認はテストという名称をつけるか否かにかかわらず、合否のラインは明確にする必要があります。
単なる理解度確認クイズのレベルであれば間違ってしまった人は復習と思って自分で再確認をしておいてくださいね、ということで先に進めることのほうが多いのでしょうが、そのレベルであればあくまで演習の派生です。
ここで言う理解度確認とは一線を画すもの、として受け止めてください。
ここで理解度確認、と言っているものは、合否判定をするもの、ということで進めていきます。
その上で難易度設定については、全員合格レベルにあることの確認、というやさしいレベルから、合格判定する人の方が少数という難しいレベルまで設定を分けることは主催者として可能です。
それこそ、超難関の国家資格のための受験準備セミナーであれば、受講者のご機嫌を取るために甘いレベルでの合格ライン設定をしても無意味ということは容易にお察しいただけると思います。
そしてこの合格レベルをどのように設定するか、その判断していくための要因は、セミナー開催の背景にある目的次第、ということになります。
目的との兼ね合い。
とても大事なことです。
第3章 資料参照可とするか
第2章の難易度設定とも密接に繋がりますが、その時のセミナー、研修で用いた資料を理解度確認テストの際に参照可とするか、不可とするか、も難易度設定を決めるうえでの要素になります。
受講者心理からすれば、資料参照可の方が心理的には安心感があります。
特に社会人教育の場で、受講者の年齢が上がってくると暗記物のテストは嫌われます。
暗記力を問うことが大事なポイントでなければ資料参照可というのは有効な手段です。
ただし、一つリスクがある点だけは考慮してください。
どのようなリスクかというと、受講者心理として、参照不可であればすっと答えを決められるところが、参照できる資料があることで、念の為確認をする、という行為がおうおうにして発生してしまう、というものです。
つまり時間が余計にかかるというリスクです。
それが高じてしまうと、時間不足の受講者が出てしまいます。
人間心理としても、テストであればやはり殆どの方が満点を取りたいと思うものではないでしょうか。満点とはいかずとも、可能な限り高得点、というべきかもしれません。
そうすると、時間に余裕があればほぼ間違いなく資料を参照して確認をする、という行為を人はとります。
このような受講者に与える心理的影響を踏まえて資料の参照可とするか否とするかを決めるとよいでしょう。
第4章 回収か返却か
最後に、実施した理解度確認を回収するのか返却するのか、という部分に触れておきましょう。
そもそも獲得した点数を、本人の自己確認のレベルに留めるのか、主催者側が把握するのか、という点も設定次第です。
点数はともかく、合否レベルの判定とその把握だけ主催者としてする、ということもありえます。
そして実施後はあくまで受講者本人の動機づけという観点から返却が当然でしょ、と思わる方も多いと思います。
できればそうすべきと私も思いますが、主催者都合で、同じ問題を他の受講者に向けて繰り返し使う、というケースもあります。
そうなると返却してしまうと情報が漏れてしまうことになり、次に受ける方との公平性が保てなくなるわけです。
このような諸々の事情も含めて判断していくことになります。
そしてそれは、合格を確認するためのレベル設定としているのか、それとも落とすための試験としているかという難易度設定によっても当然変わってきます。
大学入試問題の漏洩事件、ということを考えてみていただければおわかりのことと思います。
さて、今回お伝えしたいことはここまでですべてをカバーしたと言ってもよいのですが、一つ補足をしておきたいと思います。
私自身の体験をお伝えし、皆様にこの理解度テストを実施すべきかどうか、実施するならどのような方式、そして難易度設定とすればよいか、ということ考えるヒントにしていただければ、という思いです。
さて、どのような体験かと言うと、
毎年のように研修を開催してくださるあるお客様向けのオーダーメード型研修においてのことです。
その研修では毎回最後に理解度テストを行っているのですが、あるとき難易度をもっと上げてほしい、と言われたのです。
研修の内容から落とすために理解度テストをする意味はまったくなく、あくまで理解度を本人に再認識してもらうための確認レベル、という位置づけと考えて行ってきていたのですが、その組織で行っている他の研修の合格率と比較して圧倒的に高いので、内部検討で問題視されたから、という理由でした。
講師の側からすれば、理解度確認の難易度設定を難しくするのは簡単にできます。
ですがそれが受講者に与える心理的影響についてはどう考えるのか。
お尋ねしましたが明快な回答はいただけませんでした。
他の研修と比較して・・・・
わからないではありません。
ですが、何のために実施している研修なのか。
そしてその達成目標をどのように設定するのか。
やはり寂しさは拭えませんでした。
企業研修においては時々起きてしまう問題です。
受講者の方より前に研修を企画する方々がもう少しこの辺りを考える、勉強する機会を持ってくだされば、という思いです。
なにかのヒントにしていただければ嬉しい限りです。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
(了)
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