「電話貸してください」マック店長へのお願いから考える再発防止策とは
- tsunemichiaoki
- 2024年6月28日
- 読了時間: 11分

講師として活動していると、緊張する場面は多々あります。
経験を積んでも緊張はします。
よい評価をいただき名指しでのリピートオーダーをいただけるようになった今でも緊張する場面は多々あります。
昔のことです。学生時代に部活における同期が、試合の直前になるとトイレに駆け込むという光景を何度も目にしていました。普段そんな緊張し易いタイプに見えないのに、どうしてそういつもいつもトイレに行きたくなるのだろう、と不思議で仕方がありませんでした。
ですが、社会人になり、そして色々な仕事をしていく中で、ある時期から講師業務というものがその一つの主たるものになった時に、初めてその学生時代の彼の思いがわかるようになりました。
今回は、そんな私の実体験に基づくお話です。とは言えどこまでがノンフィクションで、どこがフィクションか。想像しながらお付き合いいただければ幸いです。
1. プレッシャーと緊張
セミナーでの講義、講師対応に限らず、人前で行うプレゼンテーションは、時間の長さに関わらず、どなたであっても緊張するものではないでしょうか。
もちろん、その時間が長くなればなるほど事前の緊張の度合は高まるのが普通でしょう。そしてそれはよほどの特殊な人を除いて、それなりに経験を積んでいったとしても、緊張という壁は残るものです。
ここでは初心者からベテランまで、講師として直面する緊張、プレッシャーに立ち向かう姿勢と克服の秘訣を紐解いていきましょう。講師を行う全ての方の自己成長に繋がるヒントになればと思い、恥を忍んで(すみません大げさでしょうかね)記していきます。
1.1 講師は緊張する
人はプレッシャーがかかると緊張するものです。たとえそれが好きなものであってもです。
こんな経験されたことがある方、大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
明日は遠足だ、あるいは楽しみにしていた旅行だ。さあ明日に備えて早く寝よう!と思って布団にいつもの時間より早く潜り込んだものの、一向に眠ることができずに、だんだん悶々としてきて、しまいにはいらいら。そしてそれからウトウトしたものの、あっという間のように朝になってしまい、とってもだるさを感じる中で別途から這い出る、というご経験です。
もちろん私はあります。子供の頃の遠足はそこまでひどくはありませんでしたが、かえって大人になってから、明日から休暇だ、楽しみにしていた旅行だ、という時になかなか眠りにつけない、ということをよく経験するようになりました。
そうなんです。講師業務におけるプレッシャーは上記の遠足や旅行とは全く違いますが、平常心ではいられない、という点では同じということです。
1.2 経験積んでも緊張する
では、講師経験を積むことによって、同じ内容の繰り返しというセミナー登壇であればだんだん慣れによってプレッシャーは減ってきます。つまり緊張も減るわけですが、その緊張がゼロになることがあるか、と問われれば、当然、ゼロにはなりません。
どれだけ経験を積んだとしても、講師を行う前には99%の人が緊張するものです。本当にごくごく一部の例外の人は除いて。
私も本格的な講師対応をするようになって10年以上の月日が経ちました。
ここ2,3年は繰り返し対応しているセミナーの講師であれば、講師対応の前日にお腹の調子がおかしくなる、ということはかなり少なくなりました。それでもゼロにはなりません。
一応申し上げておくと、そのセミナー対応ではありがたいことに毎回かなり高いお客様評価をいただくことを続けることができています。
その背景には、新任講師の採用や育成においても主導権を持って取り組んできたことがあります。採用、育成をしてきた以上、失敗していては身も蓋もない事になります。
自分がそのレベルのパフォーマンスを出すのは当たり前でなければならない、というプレッシャーを背負っていることが、失敗しない要因の一つになっています。
遠慮なく申し上げると、そのセミナーに関してということであれば、相当に高いレベルで対応できる実績と自信を持ち合わせている状態には到達しています。
ですがお腹の具合がおかしくなることはゼロにはなっていないのです。
1.3 評価を受け、ご指名で講師をするときでも緊張する
もう一歩進みましょう。上記のセミナーはBtoBであるお客様から評価いただくと来年の人材育成もあの講師でお願いします、というケースがよく起きます。ありがたいことに私も何社かそのように評価いただける取引先が生まれています。
そうなると、その企業への訪問によって得る様々な情報、相手方の担当者の方の人となりへの理解、親和というところから、不安に感じ要素はどんどん少なくなってきます。
未知の世界への訪問及び対応は、多くの方にとって大きなプレッシャーになるリスクが高まるわけですが、リピートオーダーの場合であればその不安要素はどんどん少なくなるわけです。
そうなれば緊張しなくなるのではないか。
私の場合は、残念ながらその境地に達することができる日は来るのであろうか、という状況です。
多くの場合は取り越し苦労なのですが、それは言うは易しの世界。わかっていても自分では相当にコントロールが難しい部分です。
2. 移動とトラブル
緊張によって、どうしてお腹の調子が悪くなるのか。
答えは簡単で、自律神経が乱れるからです。病は気から、とよく言われます。このお腹の変調は典型的なその該当事象です。
今でこそ笑い話として記すことができますが、こんなこともやらかしてしまったのねこの人は、という顛末をご紹介しましょう。
ご指名を頂いて毎年複数回もお邪魔して行うセミナー講師を務めていたときのことです。
そのセミナー、先方の提案を受けてこちらで企画提案し作り上げ、更に毎回終了後の改善検討会議で次回にはこのようにブラッシュアップしましょう、というやり取りをするという、普通ではありえないくらいのお客様側も熱心に取り組んでくださるセミナーでした。
完全オーダーメイドであり、その作り込みを私自身がしているセミナーですから、内容への自信と熟知度は相当にあります。
そして実際にお客様からも高く評価していただく実績も伴っていました。
特段、内容等での変更があったわけではなく、前回同様のレベルでの運営管理ができればもう十分、というところに至っていたある時のことです。
日頃の疲れが溜まっていたのでしょうか。何とも胃腸の調子に元気がありません。そして残念ながら当日朝も快食快便とはいきませんでした。
とはいえ、とにかくお客様のところに自分が行かなければセミナーが始まりませんから、ターミナル駅からバスに乗り込みました。道が空いていれば20分程度の距離なのですが、朝のラッシュ時の渋滞がひどいと40分程度かかることを承知の上、余裕をもってバスに乗り込みました。
そして何となく予感があったのですが、しばらくすると渋滞にハマります。なかなかバスは前に進みません。余裕を持ったとは言え、どこまでひどい渋滞かは私では全くわかりません。
まあ、渋滞は仕方がない、とわかっていてもだんだん時間が気になりだします。どのくらい渋滞の中でのノロノロが続いたでしょうか。
初めて行く場所ではないので、もう半分くらいは来たな、というのも何となくわかります。そしてそのときはそれまで経験した最もひどい渋滞と同等以上に時間がかかっていることを認識せざるを得なくなってきました。
まずい、こんなに渋滞していると、お客様のところに余裕を持って到着し、準備をするわけに行かなくなる、という焦りもだんだん募ってきます。
そのせいでしょうか、何とまずいことにお腹がゴロゴロしだしたのです。
おい、ちょっと待ってくれ。今ここで、こうなってしまうと、まだまだ道のりは長い、何分我慢すればいいんだ、という焦りです。
信号待ちで渋滞ということはよくあり、ある交差点を越えるとスムースに走り出す、というご経験はあなたもされたことがあるのではないでしょうか。
その時もそれを期待しましたが、何回か交差点を通過しても状況は変わりません。
ある大きな交差点を越えた際に、もうまずい、と観念しました。
大きな交差点で周辺にはチェーン展開する飲食店が軒を連ねていたことも決断を後押ししてくれました。途中下車です。
そして一目散に、という状況であるお店に駆け込みました。注文ではなく、トレ貸してください、ということです。
ありがたいことにこれで一難は去りました。
しかしここで冷静に時計を見ると、この状況で再びバスに乗り、渋滞が続くとすると遅刻になってしまうかもしれない、というところまで来ていたのです。
マズイ、早急にお客様に連絡をしなければ、とようやくここで気づきます。
カバンの中に手を伸ばし・・・
あれっ・・・、ない・・・。
携帯電話がない。えっ、家に忘れてきた?
ああっ・・・。
泣きっ面に蜂、という状況です。
もう四の五の言っていられる状況ではありません。すぐさま店員さんに名刺を出して名乗り、事態を説明し、「電話貸してください」というところとなりました。
店員さんもかわいそうです。そんなお客の応対はおそらくしたことがないはず。アルバイトの女子高生でした。
奥で上司に相談してきます、と言って下がっていきました。
代わりに出てきた方。店長のバッジを付けています。
状況わかりました。どうぞお使いください、と言ってすぐさま電話を貸してくださいました。
九死に一生とはまさにこのこと。
お客様にようやく連絡ができ、普段であればとうについている時間なのに今日はどうしたのかな、と心配していました、と言われてしまうものの、最悪の事態は何と回避でき、全員揃っている受講者には自習の時間として指示しておきます、と言ってもらえホッとして電話を切るとともに、店長には丁重にお礼をして、何と何も購入することなく、お店を後にしました。
さあ、最悪の状況は回避できたものの、まだまだ道半ば。バスに乗ってもこの後の行程を考えると、どれだけ遅刻になるか見当もつかないし、周りを見てもタクシーも走っていない。さあどうすると半ば立ちすくんでいると、何と空車のタクシーが来るではないですか。
当然飛び乗りました。そしてさすがタクシー。今日の渋滞は本当にひどいよね、と同情してくれる中、しっかりバス通りとが違う道で、どんどん進んでくれます。
もうお腹のゴロゴロはこれですっかりなくなりました。
そしてありがたいことに、開始5分前にはお客さまの会社の玄関に到着。奇跡としか思えませんでした。
もちろん多くの方のお陰と心配をおかけしたのですが、受講する方々への迷惑は何とか掛けずに済んだ、という状況の結末となりました。
長々お付き合いいただき、ありがとうございます。
このような顛末、経験しているのは私だけでしょうか。そうなのかもしれませんし、そうではないかもしれません。
本当にあのときの店長さんとスタッフの方には(ここは完全にほんとうの話なもので)今でも感謝しかありません。ありがとうございした。
3. 「再発を防止する(再発防止策の検討及び実施)」
真のプロフェッショナルになるには危機を乗り越える力を備えなければなりません。私の場合は「電話貸してください」という恥も外聞もなく平身低頭お願いしたことで助けていただけました。
とはいえ、このようなことを二度と起こさないことが、何よりもあのときの店長へのご恩返しでしょう。もしあなたが似たような経験をしそうになったことがある、あるいはしたことがある、ということであれば、再発防止策がしっかりとられているかどうか、今一度再確認をしてくださいね。
私の場合の再発防止策は、簡単でした。バスを使わない、という手段の変更です。
ありがたいことに、そのお客さんのところへの訪問は、バス停が目の前にあるため、お客さん側もそれを推奨してきているのですが、歩く距離はそこそこあるものの、電車の駅もそばにあるのです。通常の方であればその距離を歩かせるような案内はお客様に対してはしないため、バスの案内ということになるのですが、幸い、私は歩くことは苦にしません。
えっ、歩いてきたのですか、とそれ以降の訪問時にはびっくりされるようになりましたが、何よりも電車の場合は渋滞で遅刻、ということはまずありえません。
雨のときは少々つらいでしょうが、幸いその後何度も訪問して講師対応をしていますが、雨に降られたこともなく、そして移動時間も渋滞にハマるバスよりかえって少ないくらい。
なんだ、これなら当初から電車を使えばよかった、と思うほどです。
お陰でいつも狙った通りの時間に到着し、セミナー開始前の準備をしっかりできています。
再発防止策。
私が以前いたISOマネジメントシステムの業界では是正処置、という言葉を使いますが、しっかり考えないと良い是正処置は出てこないケースが多ういのですが、意外と簡単な解があるケースもあるのですよね。
ここまでで、今回のお話は終了です。お付き合いいただき、ありがとうございました。
講師というお仕事における緊張は誰もが避けることのできないものと思っています。それを避けようとするのではなく、仲良くなることために、今回の顛末を参考にしていただければ嬉しい限りです。
これから講師として活動する方にとって、何かのご参考になれば幸いです。
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