決算書をひもとくことで経営者に与える効能
- tsunemichiaoki
- 2024年9月16日
- 読了時間: 6分

本日もセミナービジネス研究所の記事をご覧いただきありがとうございます。あらゆる経営者の方が事業を発展させていく上で、セミナー展開の価値、メリットを感じていただくために、セミナー展開で御社の事業あるいは経営者であるあなた自身のアピールをしていただきたいと考えております。
そのために、セミナー展開をどのように行っていけばよいか、という基本をお伝えするため、そしてご参考になるのでは、という記事を書き連ねております。
前回、経営者向けに決算書についてのお話をいたしました。自社の決算書分析は本当に役に立ちます。騙されたと思って是非トライしていただきたいのですが、今日はその効果、効能についてお話を進めたいと思います。
それでは今回の本文をどうぞ。
第1章 経営者にとってはB/Sが何より大事??
このフレーズ。
あちこちで目にされた、という方がおられると思います。
多くの経営者はP/Lしか気にしておらず、B/Sへの意識が希薄であることの警鐘です。
そして本質的に理想の経営、ということを考えれば、B/Sへの意識がなければ話になりません。
その事自体を否定するものでは全くありません。
ですが、私自身は代表取締役になったタイミングではB/Sのことは全く意識しませんでした。
少々特殊な事情だったと言えるのですが、とにかく問題視したのはP/Lの方でした。B/Sは実はあまり気にせずともよいということが背景にあったためでもあります。
それから数年、なんとかP/Lがまともな状況になった段階で、ようやくB/Sのことを意識し始めるようになりました。
何をまずお伝えしたいかというと、決算書の見方は各社各様。
そして時々の情勢によっても正解が変わります。
特に経営変化の激しい中小企業であればなおさらです。
教科書で言われていることはもちろん大事です。
ですが、それをどのように活用していくかは、各社それぞれです。
道は一本ではないことを改めて意識しておいてください。
第2章 前年度との比較
具体的な話に進みましょう。
毎年の決算、株主総会において、御社ではどの資料を用意されているでしょうか。
B/S、P/Lはあるかと思いますが、あくまでそれは単年度のものでしょうか。
基本的には決算書と言えば、この単年度の数字を示したものですが、気の利いた税理士さんであれば、
比較貸借対照表、比較損益計算書を用意してくださると思います。
これは説明する側にとっても説明を聞く側にとってもとてもありがたい資料になります。
今期の数字だけを明示され、言葉での補足説明を聞いたとしても、現場をわかっている方であったとしても理解には限界があります。
それを前年との比較の数字、その上での比較の補足説明を受けると、現場の状況がリアルに思い出され、とても理解が深まるものです。
もちろん人によってその程度の差は出てきますが、それでも単年度のものより前年との比較の中で見る、聞く、考えることができる価値は本当に大きなものがあります。
もしそれを使ったことがない、という方がおられるようでしたら、次回は税理士さんとすり合わせをして、必ず比較表で、経営の状況を把握し、次年度のことを考えるようにしてみてください。
今までとは違った感覚になることをお約束します。
第3章 過去の決算書を用いた比較
第2章では、あくまで株主総会を意識したお話をいたしました。
ここでは、もう少し深堀りするために、前年との比較、というレベルからさらに深堀りしていきます。
結論を申し上げれば、少なくとも5年分の決算書を紐解いてみましょう、というご提案です。
5年は大変すぎる、ということであれば、少なくとも3年から始めてください。
どうして2年分では不足かと言えば、突発事象の排除をしたいからです。
経営を続けていれば、ブレはどうしても出ます。
小規模企業であればコロナ禍のときのように世の中がひっくり返るようなことは別にしても毎年毎年安定的に売上が上がって、利益も残って、ということにはそう簡単にはなりません。
急に大口の注文が入ってということもあるでしょう。
でも大口注文は、そのときは大変嬉しいし、ありがたいものですが、1回限りで終わってしまうと、翌年は大変です。
逆に、今まで継続した取引があったお客さんが何らかの事情でその年だけ、発注が止まった、というようなケースで、そのお客さんとの取引金額がそこそこであれば、当然その年は落ち込むことになってしまいます。
このようなブレを少なくとも3年以上で見ていけば、できれば5年で見ることができれば、俯瞰的視点で色々なことが見えてくる、気付けるようになるからです。
私自身はあるとき念の為、という意識も含めて10年分の決算書をかなりの時間を使って分析しました。
結果として5年分の決算書分析から更に大きな何かを得た、ということにはなりませんでした。
まあ、見なくても良かったな、という結果ではありましたが、それに使った時間が無駄だったとは全く思いませんでした。
数字自体は当然毎年違う状況ですから、その当時起きていたことを可能な限り思い出してみて、そこから学べることはなにかないかな、という視点で決算書を見ていくうちに、やはり反省すべき点、改善すべき点が色々感じ取れるようになりました。
あくまでそれは感覚的なものが多く、定量的評価、定量分析につなげることがたくさんあったわけではありません。
それであっても皆様にご紹介する価値はあったわけです。
第4章 まとめ
決算書をひもとくことで経営者に与える効能と題してご説明をしてきました。
複数年(基本は5年)の決算書を並べて分析を行うことで、絶対値の把握と傾向そしてその推移を理解することができ、加えて様々なことを経営者であれば感じ取れるはず、と考えての推奨です。
もちろんその分析作業を行うには時間が必要です。
1時間の時間でできるか、と問われたとします。
できるかできないか、であれば財務省表の基本的知識がある方であればできます。
でもお勧めしません。
そこから附随して色々見るべき、ひもとくべきことがらが出てくるからです。
だからこそ、少なくとも休日に半日、できれば1日の時間をあけて取り組んでいただきたいのです。
経営者は誰よりも自社のことをわかっていなければなりません。
まずは現在を理解することですが、そのためには過去の理解も欠かせません。
過去の理解のために決算書分析ほどよいものはない、というのが私の考えです。
その現在と過去をしっかり理解したうえで、未来を考えていっていただきたいのです。
経営者としてのあなたの奮闘をいつでも応援しています。
(了)
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